一様ではない遠景と近景のコントラスト

 航空写真では、被写体となる地面の建造物とカメラの間に大量の空気が存在します。
 空気はいつも澄んでいるとは限りませんし、また、一見空気が澄んでいるように見えるときでも、撮影してみると、空気中のチリなどの影響で暗部のしまらない、コントラストの弱い写真になりがちです。白っぽく見える航空写真が多いのはこのためです。
 これを解決するために、撮影後のデジタル処理で全体のコントラストをただ上げればいいかというと、そういうわけにはいきません。
 それは、写真のコントラストは被写体との間に存在する空気の量によって違ってくるからです。

 例えば、右のBefore写真のように、手前の建物と遠景の景色が同時に映るようにある程度引いた絵を撮影した場合、手前と遠景では空気の量が違うため、遠景になるにしたがってコントラストのない写真に仕上がります。コントラストの低下する度合いが、1枚の写真のなかでも一様ではないことがよくわかると思います。

 デジタル写真では、撮影時にコントラストを一定にしてJPEGデータとして撮影することも可能です。しかし、撮影後にコントラストを調整することを前提にRAWデータとして撮影するほうがより精度の高い撮影が可能です。
 銀塩フィルムで撮影する場合、フィルム自体を選んだ時点でコントラストは決まってしまいますので、コントラストを調整することはできません。ましてや、手前と遠景とのコントラストを別々に調整していくことはできません。
 撮影地の状況に合わせて補正することが可能なデジタル写真は、航空撮影に適した撮影方法ということができます。

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Before
撮影しただけの写真。この日は晴れていたのですが、見た目とは違い、撮影するとガスっていて、コントラストのない仕上がりになってしまいました。
After
調整後の完成写真。全体にコントラストを調整しただけでなく、遠景ほどコントラストが低下するので、前景から遠景にかけて段階的にマスクをきり、そのエリアごとにコントラストを上げる処理をしています。また、最後に色調を調整して晴れた日の気持ちよい写真に仕上げています。
遠景と近景ではコントラストが変わる
目で見ているだけでは気づかないことが多いのですが、航空撮影では近景と遠景では空気の層の厚さが違うので、程度の差こそあれ、コントラストが変わります。